牧 櫻山
0242
牧 櫻山
落款の書風から推測して、壮年期、又は比較的晩年の作品と推測される。覇気が有り立派な作品である。ここまでの力作であると、展示会の出品作、或は大衆の眼に触れる事が前提に有って、このような熱の籠った作品が、制作されたものと思われる。名品と思う。
前回の項でも指摘したが、櫻山の事歴の詳細は分かっていない。自分の内では、豊後南画の時代をやや下った「売絵画家」の認識が強かったが、一概にそうとも言えない画器量であった事が、この様な作品で再認識させられた。
「春喗暁艶孔雀之図」と題された共箱である。箱の裏には「歳次乙卯皐月於華城/櫻山自題」とあるから、大正4年(1915)の箱書と分かる。落款の白文正方印[牧實之印]、朱文正方印[牧童]と、箱の印が同じであるから、画作も箱書きも同じこの歳と思われる。その様な事実を重ねてみた上で全くの憶測をすれば、画域、印文は壮年期であろう。
ZN0808qER(3256)